分類:ミカン科 イヌサンショウ属(あるいは、サンショウ属)
学名:Fagara mantchurica
(サンショウ属の学名:Zanthoxylum schinifolium)
和名の由来:サンショウに似ているが、香りが少なく役に立たないので、犬・山椒
分布:本州、四国、九州;朝鮮半島、中国
性状:落葉低木。雌雄異株
樹高:2-3m
花期:7~8月、果期:9~10月
仲間:カラスザンショウ、類似種:サンショウ
↓山野の林縁や道端などに生え、幹は直立することが多い。
樹皮は灰褐色で、若枝は緑色から赤褐色。少しだけ筋のようになった稜がみられる。
葉は多数の小葉からなる奇数羽状複葉で互生する。小葉は11~23枚あり、全体の長さは5-15cm。
葉の形はサンショウに似ているが、サンショウよりも香りが悪い。

↓側小葉は狭披針形から狭卵形で、長さ2-4cm。小葉の表面は濃緑色で光沢あり、裏面は帯白緑色。葉縁には小さく鈍い鋸歯があり、わずかに波打つ。小葉柄は1-3mmで極めて短く、小葉の基部はくさび形で僅かに翼がある。小葉の脈端は側縁に達する。

↓葉縁の鋸歯と鋸歯の間の凹んだ部分や表面には所々に油点がある。葉裏にはまばらに点々と油点がある。葉軸の上面には翼のような稜があり、下面には微細な棘が点在する。小葉の先端は鈍頭で、一番先端の部分は少し窪んでいる。小葉の側脈は不明瞭。

↓若枝や葉柄の基部には、4-15mmの鋭い棘が互生する。 老木ではこれがコブ状の突起に変わり、ゴツゴツする。
イヌザンショウは棘が互生するのに対し、サンショウは棘が対生する。

↓当年枝の枝先に長さ3-8cmの散房花序を出し、黄緑色~淡緑色の小さな花を密につける。花弁と萼片は5枚で雄しべも5本。
よく似たサンショウの花には花弁がない。
果実は2~3個の分果に分かれる。分果は長さ4-6mmの球形で赤褐色に熟す。果皮の表面には窪んだ油点がたくさんあり、凸凹している。やがて2つに割れて黒色の種子がのぞく。種子は球形で硬く、光沢をもつ。



参考:果実を鎮咳、消炎薬とするが、サンショウとは違って神経に作用して毒性を発揮するアルカロイドを含む。