分類:トウダイグサ科シラキ属
学名:Sapium sebiferum
(APG分類体系、他の分類ではTriadica sebifera)
別名:トウハゼ、カンテラギ
英名:Chinese Tallow Tree / Vegetable tallow
和名の由来:中国原産の植物で、ウルシ科のハゼノキと同様にロウ(蝋)を採るから。
原産:中国、台湾
分布:関東以西の本州の暖地、四国、九州
性状:落葉高木
樹高:6~15m
花期:6~7月、果期:11~翌2月
↓紅葉が美しく剪定に強いので公園や街路樹などによく植栽されている。
紅葉は赤色に紫色、橙色、黄色、緑色が加わったような、複雑で鮮やかな色。陽の光を受けて実にきれいである。
葉は互生で、先端が尾状に伸びて尖った菱形で長さ4~7cmで緑色の艶々した滑らかな革質。
葉が大きく綺麗なので果実はあまり目立たない。


↓樹皮は、灰褐色で不規則に縦に深く裂けている。

↓葉縁は鋸歯がなく全縁で両面とも無毛、裏面は白緑色。


←葉柄は長く、2~8cm。芽だしの頃には線状の托葉があるが、早期に落ちる。
↓葉の表面

↓葉の裏面


←葉と葉柄の境界部表側に、一対の緑色の丸い腺体がある。
↓夏、青々としていた葉は晩秋になるとすっかり紅葉し、緑色の丸っこい実が残る。

↓果実は始めは緑色で、秋には少し三角のかかった球形の黒紫色の蒴果で、直径1~1.5cmほどになる。

↓晩秋に黒褐色に熟した果皮が裂開し、中から長さ7mmほどの白い粉を吹いたような3個の卵形の種子が顔を出す。

↓この白い表皮を剥がすと黒っぽい茶色の種皮の種子が現れる。この白い表皮は蝋質の仮種皮であり、厚さは0.3mmくらい。

↓剥がした白い表皮と黒っぽい茶色の種皮の種子。火をつけると燃える。昔は蝋や油を採った。種子は有毒である。

→裂開した果皮は自然に落下するが、白い種子は真冬でも枝先に残っていることが多く、鳥によって散布される。冬になり葉が散ってしまっても枝の先に果実は多く残ったままになっている。果実をつけたまま落ちている小枝もある。木の下には、殻や種子が転がっている。

↓殻の内側

↓殻の外側

雌雄同株で、春には、枝先から長い黄色の穂状の花序を上向きに伸ばし、黄色の小花を多数つける。長い花序のほとんどは雄花であり、花序の基部(葉腋)に雌花が短い柄の先にいくつか付く。花弁はなく、雄花の雄しべは2本。雌花の花柱は3つに分かれ、先は開く。
参考:葉にある蜜腺の役割
葉に蜜腺が存在することの意味は、主に蜜で蟻を惹きつけて、蟻に蛾などの卵や孵化したばかりの幼虫(毛虫など)を餌として持ち帰らせることにある。なぜならば、幼虫によって葉を食べられてしまうことを防ぐのである。葉が成長して十分硬くなると、毛虫などによる食害は少なくなる。したがって、蜜の分泌は新芽を出してから葉が成熟して硬くなる間が主である。
参照資料:岡山理科大学 総合情報学部 生物地球システム学科
植物生態研究室(波田研)のホームページの中の「テーマ編」
→「
葉の蜜腺の役割は何の役割?」