分類:ミカン科ミヤマシキミ属
学名:Skimmia japonica(Skimmia は和名の「シキミ」に由来)
別名:シキミア、スキンミア、タチバナモッコク(橘木斛)
和名の由来:葉がシキミに似ていて、山に生えることから。
性状:常緑低木、雌雄別株、有毒植物
樹高:50~80cm
原産:サハリン、台湾、日本(本州・九州・沖縄)
分布:本州(関東地方以西)、四国、九州
花期:4~5月、果期:11~2月
丘陵帯から山地帯下部の林内に生育する。
耐陰性があるので、日当たりの良くないところでもよく育つ。
幹は立ち上がり、よく分岐し、樹皮は灰色。
語源となったシキミは全く別のシキミ科(またはモクレン科)に属すが、革質のしなやかな葉を有する点が似ているほか、毒性分を含む点も共通する。
<下記の全画像:
蕾や葉だけの画像は東京・高尾山で'06/11月撮影のミヤマシキミ・・・名札はシキミ。
花が写っている画像は神奈川・城山で'05/4月撮影のミヤマシキミ>

←遠めにはジンチョウゲのようにも見える。花があれば一目瞭然であるが、葉だけでは紛らわしい。
類似種のツルシキミは幹が地面を這うが、枝は立ち上がるので、見分けがつきにくい。
↓葉は単葉で、枝先に集まって互生してつき、輪生状に見える。

↓葉身は倒卵状楕円形、緑色の無毛の革質で、光沢がある。葉縁には鋸歯がなく、葉先は鈍頭。葉裏は緑白色で葉脈がほとんど見えない。葉裏から光に透かすと油点が多数見える。

↓葉柄は赤紫色を帯びていて、クロガネモチを思わせる。葉をちぎると線香のような芳香が多少ある。


←10月頃から枝先に円錐花序を付け、密生した多数の蕾が目立つようになる。
↓この頃、既に果実が赤く色づき始めている。



←<萼と花柄が紅色であり、アケボノミヤマシキミかもしれない。>
春、芳香のある白色の花が多数密生して咲く。
花は雌雄異株で、直径8mmほど。
花弁は4個で、長さ4~5ミリの楕円形。
萼片も4個。
雄花には4本の長い雄しべがあり、黄色の葯をつけている。
雌しべは退化。
雌花は、緑色の球形の子房が大きく目立つ。
その先に黄緑色の柱頭も大きく目立ち、浅く4~5裂する。
周りには、退化した短い4本の雄しべがある。
雌株には赤く熟す丸い実が出来る。
果実は核果で、直径5~8mm。
参考1:近い仲間に ウチダシミヤマシキミ、ツルシキミ、アケボノミヤマシキミ(曙深山樒)などがある。
ミヤマシキミの変種で、高尾山で発見され、萼と花柄が紅色を帯び、花弁と蕾もやや紅色を呈する種類がある。
これをアケボノミヤマシキミとして区分する説もある。
参考2:葉や果実にはアルカロイドの猛毒を含んでいて、特に葉に多い。殺虫剤としても用いられる。
類縁のツルシキミもアルカロイドを含み、毒性はやや弱い。