春の訪れが間近になってくると、雑木林の枯れ葉の下から
春蘭の花茎がむくむくと顔を出し始めていることでしょう。
一見、ミョウガの花芽に似ていると思いませんか?
昔は、春野菜として花芽をお浸しに入れて食べたそうです。
それほど普通に見られる野草だったようですが、乱獲されたのか、環境が合わなくなったのか、
絶滅危惧種に指定されてはいませんが、自生種は絶滅の危機に瀕しているようです。
分類:ラン科シュンラン属
学名:Cymbidium goeringii
別名:ホクロ(黒子)・・・唇弁にある濃紫色の斑点が、ほくろに似ていることから。ジイババ
和名の由来:春に咲く蘭という意味
性状:常緑多年草
草丈:20~25cm
分布:北海道、本州、四国、九州、屋久島、中国
花期:3~4月
↓日当たりのよい乾燥した落葉樹林内に生える。東南アジア原産のシンビジウムの仲間です。
根が太くて本数が少なく、古い株の根元が膨らんで球根状になっている。
葉は地表から出る根生葉で、細長く、薄いが硬く、根元から立ち上がり、曲線を描いて下に向かう。
茎は根元から出て、葉の陰に茎をのばし、株立ちになる。その先端に一つだけ咲く。
果実は紡錘形をしており、熟すと茎が伸びて葉の上に出て、上に向いて直立する。種子は極めて小さく、埃のように見える。


↓花茎は薄膜状の鱗片にゆるく包まれ、淡い黄緑色の花は横を向いて咲く。花弁状のものが5枚あるように見える。
上と左右に開いた3枚の花弁状のものと、その内側に開いていない緑色の花弁(側弁)が2枚上側から被さっている。
この5枚は楕円形の黄緑か緑でつやがある。その下側にひだのある白色の花弁(唇弁)が1枚。5枚と1枚で合計6枚になる。
外側の花弁のような3枚は、実は萼であって、本当の花弁は唇弁を含む内側の3枚である。
唇弁の内側には縦にひだがあり、白ないしうす緑で、あちこちに赤紫色の斑紋がある。
(唇弁の上に、雌しべと雄しべが合着した棒状の「ずい柱」があり、先端に「花粉塊」という花粉の塊があり、すぐ奥に柱頭がある。)


↓葉は明るい緑色で、葉縁に細かい鋸歯があってざらつき、葉の先端はやや尖っている。
