分類:ユキノシタ科 ネコノメソウ属
学名:Chrysosplenium macrostemon var. atrandrum
和名の由来:葉の表面にある灰白色の斑紋が汚れのように見えるので
分布:関東地方以西の本州の太平洋側、四国、九州
性状:多年草
草丈:5~15cm
花期:4~5月
↓イワボタン(別名ミヤマネコノメソウ、学名:Chrysosplenium macrostemon)の変種で、イワボタンと同じような地域に分布し、しばしば混生して山地の沢沿いのやや暗い湿地に生える。地味だが渋い美しさがある。<野草園で撮影>

↓花茎は普通10cm以下で、長い葉柄の根生葉と、対生する1~2対の茎葉をつける。
茎は角の丸い方形で葉腋を除き無毛、暗紅色を帯び、柔らかい感じがする。
葉は柄があり基部はくさび形、茎葉は卵円形~卵状楕円形、花序の直ぐ下の茎葉は長楕円形。葉縁には4~9の鋸歯があり鋸歯の先は内側に曲がっている。葉脈を中心に灰白色の小斑点が群がって独特の模様を作る。紫褐色を帯びるものが多く、汚れたような感じに見えるが、灰色がかったものや緑色のものなどもある。花後、夏のころには葉は濃い緑色になってしまう。上部近くの葉は基部の葉より大きい。

↓茎の先に小いさな花をつける、花の周りの苞葉は楕円形で黄色。
花弁はなく、4枚の萼片は暗紫褐色~淡緑色で、外には開かないで斜めまたは直立する。写真では白っぽい褐色に見える。

↓花径は3~4mm、雄しべは4本または8本で、萼の外に飛び出している。裂開する前の葯は赤紫色~暗紅色である(母種のイワボタンは黄色)が、花粉は黄色であり、葯が裂開直後のものは花粉の黄色が目立つ。花糸、花盤も暗紅色を帯びる。
果実は左右角状に2裂する蒴果で大きさは左右不同、大きい方は長さ7ミリほどある。

↓4枚の萼片が淡い緑色の例。

ネコノメソウ属の仲間:イワボタン、ネコノメソウ、
ヤマネコノメソウ、ハナネコノメソウ、コガネネコノメソウなど
参考:ネコノメ(猫の目)という名前は、裂開した蒴果の裂け目に入る一本の線を、昼間の猫の目の閉じた瞳孔にたとえたもの。