分類:サトイモ科 テンナンショウ属
学名:Arisaema serratum (Thunb.) Schott
[Arisaema serratum (Thunb.) Schott f. blumei Makino]
和名の由来:仏炎苞が緑色のマムシグサ
別名:カントウマムシグサ(関東蝮草)
分布: 北海道、本州、四国、九州
性状:宿根性落葉多年草・・・有毒
草丈:50~70cm(稀に1m超)
花期:4~5月
↓山野の林や林縁など半日陰のような明るくやや湿ったところに自生する。
春に地下の偏円形の球茎から偽茎を伸ばし、2枚の葉と仏炎苞を形成し、その中に肉穂花序をつける。
葉は鳥足状の複葉で、小葉は7~15枚に分かれ、ほぼ長楕円形で両端が尖る。真中の葉が一番大きい。
小葉の形態や鋸歯の有無には変化が多い。

↓偽茎は、多肉質で紫褐色のマムシに似たまだら模様がある。
肉穂花序は仏炎苞という独特の苞によって包まれているため、外からは見えない。
雌雄異株で、肉穂花序の下部に萼も花冠も持たない雄しべ・雌しべだけからなる花がある。
仏炎苞の先は水平に前に伸び、次第に細くなる。
仏炎苞は淡緑色で白い条が縦に走っている。仏炎苞の筒状部は長さ10cmほど。
肉穂花序の先端から伸びた付属体は棍棒状で径3~9mm。


↓仏炎苞の先の水平部分を上に開いてみた。
果実は秋に赤色に熟し、トウモロコシの形となる。種子を形成するために栄養を使い果たすと、翌年は再び雄花となる。

偽茎:花茎の周囲を二枚の葉鞘が取り囲み茎のように見えるため、偽の茎で偽茎と呼ばれる。
性転換:種子から成体に生育するには長い年月がかかる。球茎が小さいときは葉のみを付け(無性)、ある程度大きくなると花茎を出し雄花をつける。さらに成長し大きくなると、ある年から雌花をつける。つまり成長にともない、無性→雄株→雌株と性転換する。しかし、地上部が折れるなどの影響で球茎の栄養状態が悪くなると、雌株が翌年には雄株に変化する。
受粉の仕組み:雄花にきた昆虫は雄しべの花粉を身につけて仏炎苞の下にある小さな出口から外に出て行く。
雌花にきた昆虫は出口が小さすぎて外に出られず、昆虫についた花粉を雌しべにつけ、受粉が行われる。
分類の定義:マムシグサは地方名を頭につけた狭義の名前がたくさんあり混迷しているが、ここでは仏炎苞が濃紫色のものを広義のマムシグサ、仏炎苞が緑色のものをアオマムシグサとして二つに区分することにした。