分類:ガマ科 ガマ属
学名:Typha latifolia
別名:ミスグサ(御簾草)
分布:北海道~九州、温帯北半球から熱帯、オーストラリアなど
性状:多年草
草丈:1.5~2m
花期:6~8月
仲間(同属):コガマ、
ヒメガマ
↓池や沼などの水辺などに生え広く分布する。
水中の泥の中に地下茎を伸ばし、群落を形成する。茎よりも葉のほうが高くなる。
夏に茎を地上に伸ばし、円柱形の花穂をつける。上部に雄花穂を、それに接して下部に雌花穂を付ける。雄花穂と雌花穂は、コガマ同様に、離れずにくっついている。雄花穂は細い。雌花穂は太く直径約2cmの円柱形、長さ10~20cmで、コガマは6~10cmと短い。
雄花からは大量の花粉が形成され、風に乗って飛散し、他株の雌花が受粉する。緑色の雌花は受粉し成熟すると赤褐色になり、より太くなる。雄花も雌花も花弁や萼はない。


↓葉は幅10~20mm前後の厚く細長い線形で無毛、基部は筒状に合着し、その中に多数の粘液腺がある。
葉でできた酸素を地下茎に運ぶために、茎と葉は空洞が多い。そのため、柔らかくしなやかなので、編んで簾(すだれ)、むしろ、座布団、駕籠(かご)などを作った。別名(古名)のミスグサ(御簾草)は、このことに由来する。


↓ヒメガマは雌花穂と雄花穂が離れて花茎の軸が見える。
秋になると穂は綿状になって崩れ、綿毛をつけた果実は風に乗って飛散し、水底に沈み発芽する。
<画像はヒメガマ。左:花穂、中:雌花穂と雄花穂の間の花茎、右:雌花穂の綿毛>


参考1:属名の「Typha」は「沼 tiphos」、小名の「latifolia」は「幅広の葉」であり、組み合わせて学名Typha latifoliaになった。
参考2:ガマの綿毛を寝具に入れたことから「蒲団(ふとん)」、魚肉を練って竹串に付け、焼いた食品が、ガマの花穂に似ていたので竹輪「蒲鉾(かまぼこ)」という言葉が生まれ、今日の板蒲鉾に「蒲」の字を残している。「蒲焼(かばやき)」も同様である。
参考3:ガマの黄色い花粉は「蒲黄」(ほおう)と呼ばれ、止血、利尿の漢方薬に利用された。「因幡(いなば)の白うさぎ」も、この花粉で止血して傷を治したという。