分類:タデ科 ソバ属
学名:Fagopyrum cymosum(異名:F. dibotrys)
和名の由来:茎の根もとが赤いソバということから(下記参照)
別名:、ヒマラヤソバ、シャクチリソバ(赤地利蕎麦)
原産:インド北部~中国南部(チベット、ヒマラヤなど)
性状:宿根性多年草
草丈:50~100cm
花期:7~10月
↓明治以降に解熱解毒の薬用植物として中国から導入され、昭和初期から、高血圧症や脳出血の治療薬のルチンの抽出原料として栽培されたが、現在では林縁や川沿いなどの半日陰地に野生化している。
中国では、葉や茎が家畜の飼料とされているが、ソバの祖先とも言われている。
地下に肥大した塊茎があり、多数の茎が群がって生える。茎は立つ他、横に這いながら不定根を出して広がり、根付いて新しい塊茎ができる。茎は中空で無毛、下部は淡紅色~緑色で上部は緑色。
冬は地上部の茎葉は枯れてしまうが、塊根状の地下茎となって冬を越し、春になると地下茎から新しい芽が出る。

↓葉は互生し、丸みを帯びた三角形で長い柄がある。ソバは花序近くの葉は茎を抱くが、シャクチリソバは明らかな葉柄を持っている。葉身は長さ8~15cmになり、基部は浅い心形で、先は尖っている。裏面の脈上に短毛があるが、表面は無毛。タデ科の特徴である鞘状の托葉(托葉鞘という)がある。托葉鞘は褐色の膜質で、縁に毛はない。

↓上部の葉腋から花柄を伸ばし、いくつかに分岐して、花穂状の花序をつける。
花には花弁がなく、花弁のように見えるのは、5個に深裂した白色の萼片。
花は直径5~6mmで、雄しべは8本で葯は赤紫色、雌しべは3本で白色半透明、雌しべの基部には8個の黄色い蜜腺がある。



果実:果実は痩果(そうか)で、ソバとよく似た底面が三角形をした鋭い3稜形をしている(三角錐の形)。
大きさはソバよりやや大きく8~10mm位ある。熟すとソバは黒褐色になるが、シャクチリソバは栗褐色。
和名の由来:茎の根元が赤いことから、牧野富太郎博士が本草綱目の漢名「赤地利」に当たるとして命名した。本草綱目は中国の代表的な漢方薬草の解説書で、明代の16世紀末に刊行された。
本来の「赤地利」とはタデ属の標準漢名「火炭母草」の別名で、学名Polygonum chinenseまたは変種P. chinense var. thunbergianumのことである。英名がChinese knotweed、和名をツルソバという。