更新:2006.10.18 作成:2006.8.31
分類:アジサイ科(ユキノシタ科)アジサイ属
学名:Hydrangea involucrata Siebold(命名:長崎に来た医師シーボルト)
古名:江戸時代から明治初めまで、ギンバイソウ、ギンガソウ、サワフタギ、ギョクダンカなど。
和名の由来:開花前の花序がしっかりした総苞に包まれて球形をしていることによる。
分布:本州東北南部~紀伊半島の主に太平洋側の地域、伊豆諸島や北陸などの山地の谷間や沢沿いの斜面に生育する。
性状:落葉低木
花期:7月~9月。
タマアジサイの名前は明治以降。関東では、ヤマアジサイと、しばしば混生している。葉の縁の細かい鋸歯によって、花のない時期でも容易に見分けられる。
↓直径2~3センチくらいの球形の花序が見えだしてから、開花までには、1ヶ月ほどを要する。


↓ツボミが開き、中の花びらやガクが顔をだしたところ。開ききると覆っていた殻「総苞」は落ちてしまうので、タマアジサイと判りやすいのはこの状態の頃。

↓蕾が完全に開花したところ。
野生のものは、装飾花が白、両性花が青紫をした額咲きの花をつける。ガク片、花弁ともに4枚~5枚、雄しべは10個くらいある。雌しべの花柱は2個~3個。開花したばかりの両性花には本当の花弁が付いている。

↓装飾花の花弁のように見えるのは、ガクが発達したものでアジサイ科に共通している。開花してすぐのころには、両性花、装飾花ともに、紫色の花弁が見られる。この花弁は、装飾花、両性花とも開花すると、まもなく脱落する。



↓1株の花が一斉に開花するのではなく、大きくなった蕾から順番に開花するので、同じ株でも長期間花が見られる。したがって、木全体が花に覆われることはない。
葉は対生で暗緑色、長さ10~20センチほどの楕円形で、先はとがっている。見た目は厚く堅い感じで、全体に堅い毛が多く、触るとザラザラする。表面には光沢はない。
葉柄は1cm~5cmくらい。縁には細かな鋸歯がある。高さは60センチ~2メートルで、根元から次々に枝を出し株立ちになる。各枝は、年々側枝を出しその先端に花を付ける。古くなった枝は多くの花をつけるが花房が小さくなる。若い枝には細かな毛がたくさんある。


↓両性花は花弁が散った後の雄しべの元にある小さな突起がガク片。装飾花ではこのガク片が大きく発達する。
未開花の両性花が少なくなると装飾花が開花する。直径2~3センチの白いガク片の上に青い花弁が乗っている。

↓花が終わった果実の時期には、装飾花は裏返しになってしまう。装飾花のガク片も脱落せずに、よく残っている。果実はサク果で、直径3mmくらい。雌しべの花柱が角のような感じで残っている。

↓タマアジサイは、アジサイ属の中では、系統的にヤマアジサイやガクアジサイより、ノリウツギやカシワバアジサイに近縁といわれる。

参考HP「タマアジサイ Hydrangea involucrata とタマアジサイのあれこれ」
http://kawa-ese.hp.infoseek.co.jp/yamaazisai-p2/tamaazisai.html