更新:2007.08.12 作成:2006.12.24 17:28
分類:マツブサ科サネカズラ属
学名:Kadsura japonica
和名の由来:美しい実のかずらの意。
別名:ビナンカズラ(美男葛)…樹皮から採った粘液を整髪に使ったため。他にトロロカズラ、フノリカズラ、ナメリカズラ。
分布:関東以西、四国、九州の丘陵地帯の広葉樹林の林床や林縁、
朝鮮・台湾・中国の暖帯から亜熱帯
性状:常緑蔓性低木
花期:夏、未明に開いて、夜には枯れる。果期:秋
かつてはモクレン科であったが、今はマツブサ科に分類。雌雄異株または同株。
直径約1.5センチの黄白色の花をつける。花弁は8~17枚。未明に開いて、夜には枯れてしまう。
一つの雌花は花托(または花床)の面に緑色の雌しべが多数並ぶ。
↓夏頃、葉腋に緑色の蕾をつける。


↓雄花の雄しべの集合体
広い面積を占める赤い部分は、半葯をつなぐ葯隔(やくかく)である。多くの花の雄しべでは、2個の半葯で1個の葯を構成し、その半葯をつなぐ組織を葯隔という。サネカズラでは、この葯隔が極端に広い。


↓花後に花托が球状に膨らみ、その周りに多数の分離子房が成熟し、径5ミリほどの赤い球となった液果が、球状に集まってイチゴに似た径30ミリほどの集合果となり、秋に赤く熟す。
実を南五味子と言い鎮咳、滋養強壮薬として用いられる。



←集合果は1つの花から生ずる。(ヤマボウシやヤマグワは多数の花から生ずる。)
→個々の果実が落ち、まばらになった花托


←すべての果実が無くなってしまった花托→

↓若枝は赤紫色を帯び、古くて太い茎はコルク層が発達している。蔓性であるが、あまり巻きつかない。まっすぐ伸びて垂れ下がったりするので、普通の木の枝と区別しにくいことが多い。
林床に生育している若い個体では、ツルを伸ばしていないことも多いので、常緑高木の若木と紛らわしい。

↓葉は単葉で互生し、葉身は無毛で卵形または楕円形。長さ5~13センチ、幅2.5~6センチ。先端はやや尖り、厚みがある。
葉の表面は濃緑色で光沢がある。裏面は灰緑色であるが、しばしば赤味を帯びた斑紋ができ、紫色に見えることが多い。

林床に生育する若い個体では鋸歯が目立ち、日当たりの良い場所の葉は鋸歯が荒くなる。
(中央下部の葉はちがう。)
