分類:ハマウツボ科 ハマウツボ属
学名:Orobanche minor
和名の由来:ハマウツボより細いのでヤセウツボ。
靫(うつぼ)とは魚のウツボではなく、矢を入れて背中に背負う細長い筒のような袋のことで、花の形が似ている。
原産:ヨーロッパ~北アフリカ
分布:本州、四国
性状:寄生の一年草
草丈:15~40cm
花期:5~6月
↓1937年(昭和12年)に千葉県で初めて確認されたという帰化植物。畑地、牧草地、道端などに自生する。
主にマメ科植物のムラサキツメクサ(アカツメクサ)やシロツメクサ、コメツブツメクサなどの根に寄生し、寄生根で養分を吸収して成長し花を咲かせる寄生植物。そのため農作物の被害を与えることもあり、外来生物法で要注意外来生物に指定されている。
種子は宿主の根のそばでないと発芽しない。発芽した種子が定着可能な範囲は根から5mm程度。発芽しない種子は土中で長期に渡って生き延び発芽の機会を待つ。
春から初夏にかけて、茶褐色の棒のような物体が、宿主の緑色の葉影から出現する。遠目には細長いキノコのような感じに見える。


↓全体に葉緑素を欠き、茎は肉質で細く茶褐色、分岐せず直立し、短い腺毛を密生する。
茎の上部に、先が上下2唇に分かれた筒型の唇形花をやや密な穂状に咲き上げて行く。葉は鱗片状に退化し目立たず、先は尖る。



↓花は地味な淡い黄褐色で、長さ15mmほど。花冠に紫色の筋や斑点があり、全体に腺毛がある。


↓雌しべの柱頭は先端で2裂し大きな球状。雌しべの根元は紡錘形にふくらんだ子房になっている。
雄しべは黒い葯を持った長短2本ずつあり、花粉はさらさらした微細粉末状で無数にある。萼片の先は尾状に長く尖る。
蜜や香りがなく、多くは同花受粉。果実は細長く、埃のように細かな数十万個の種子を散布する。
